劇団四季は「キャッツ」「オペラ座の怪人」「ライオンキング」などで知っている方も多いと思いますが、とても有名な演劇集団です。
劇団四季の舞台に感動し、「自分も一員になってあの舞台に立ちたい!」と劇団四季の入団を希望する人も多くいますよね。
しかし、あの素晴らしい舞台を上演する劇団四季に入るためのオーディションとは、一体どのようなものでしょうか?
今日はそんな疑問にお答えして、「劇団四季オーディションの内容」や「倍率」、「受けられる年齢」、「舞台未経験者の受験の口コミ」や「落ちたけれどもその後合格した人の口コミ」などを詳しく紹介します。
Contents
劇団四季のオーディションを受けられる年齢と応募資格
劇団四季のオーディションについてですが、まずはオーディションを受けられるのか否かに関わる、年齢とその他応募資格について確認しましょう。
劇団四季のオーディションを受けられる年齢は?
劇団四季のオーディションでは、一般メンバー(正団員)と研究生を同時募集しており、年齢制限については以下のようになっています。
- 一般メンバー:劇団四季の正団員のこと。作品オーディションに受かれば稽古に参加・出演できる。年齢制限なし。
- 研究生:正団員候補生のこと。無料で一年間劇団四季のレッスンが受けられ、基本的には卒業試験に合格すると晴れて正団員になれる。
オーディションを受験する年の4月1日時点で26歳以下であること。
研究生は厳密に年齢制限がありますので、研究生を目指す場合は「4月1日現在で26歳以下であるか」をしっかり確認しましょう。
年齢制限を超えている場合は、年齢制限のない正団員のオーディションのみ受けることができます。
しかし、こちらはすぐに出演できる実力があると認められなければいけませんので、研究生よりも合格人数も少なく、より狭き門となります。
劇団四季のオーディションのその他応募資格は?
年齢以外のその他の応募資格については以下のようになっています。
- 性別・国籍不問
- クラシックバレエコースの女性は、トゥシューズが履ける方のみ応募可。(※オーディションのコースについては後述します。)
- 週6日午前・午後とレッスンがあるため、全日制の学校やアルバイトとの両立は不可。
性別はもちろん、国籍の縛りもありませんので、劇団四季には実際に様々な国籍の劇団員が在籍しています。
レッスン料は無料ですが、週6日朝~夕方までのレッスンとなっていますので、学校やアルバイトとの掛け持ちはできません。
アルバイトをしなくても一年間生活できる経済環境にあることも応募資格の一つですので、お金をためるか親からの援助等受けられることを確認してから応募しましょう。
それでは次に、劇団四季のオーディションの倍率を確認していきましょう。
劇団四季のオーディションの倍率
劇団四季のオーディションは年に一回秋頃に開催され、受験料は無料であり、毎年800人~多いと1600人程度の受験者がいます。
書類選考、実技審査を経て、実際に合格する人は一般・研究生を併せて40~90人前後となるので、倍率はおよそ20~40倍となります。
劇団四季は2009年のオーディションの内訳を公表していますので、以下をご参照ください。
2009年度劇団四季オーディション
- 応募総数:1350名
- 書類合格:406名
- 一次合格:206名
- 本選合格(一般):36名
- 本選合格(研究生):61名
※倍率:研修生22倍、一般37.5倍
また、元劇団員の方が2010年度のオーディションに参加した時は1,600人の応募があり、正団員の合格は16人程度、研究生が50人程度だったそうで、なんと倍率にすると100倍を超えています!
年度によってばらつきはありますが、劇団四季のオーディションは低くても20倍の倍率、確立にすると5%の合格率と、かなり低い合格率となります。
このように狭き門の劇団四季オーディションですが、実際の内容はどのようなものになるのか、オーディションを受けた人の口コミを交えながら詳しくご紹介します。
劇団四季のオーディション内容
それではここからは、劇団四季のオーディション内容について詳しくご紹介します。
まず、劇団四季のオーディションは、大きく三つの部門に分かれています。
- 歌(ヴォーカルクラシック、ヴォーカルポピュラー)
- 演技
- ダンス(ジャズダンス、クラシックバレエ)
一般メンバーオーディションは、この部門の中から自分の得意なものを選んで受けることになります。
それでは、部門についての口コミを見てみましょう。
【一般メンバーオーディション受験者】
ジャズダンスを選んで受けましたが、歌の審査もありました。
【研究生オーディション受験者】
歌唱審査や台詞審査、ダンス審査を受けました。
一般メンバーオーディションでは、上記の口コミのように自分で選んだ部門以外の他も併せて審査される場合もありますので、他の部門もできるように準備をしておく必要があります。
また、研究生オーディションでは、自分の得意分野のみでなく、口コミにあるように歌・演技・ダンスすべての審査が行われます。
審査内容の詳しい内容については後ほどご紹介しますね。
それでは、順を追って劇団四季のオーディションの流れをみていきましょう。
劇団四季オーディションの流れ
劇団四季のオーディションはこのような流れになります。
- 書類審査
- 実技審査(一次審査・二次審査)
まずは書類審査から内容をみていきましょう。
①書類審査
まずは書類審査ですが、実はここで4分の1ほどに大幅に人数が絞られてしまいますので、その作り方・内容がとても重要になります。
書類審査に必要なものは以下のようになっています。
- 履歴書、芸能書(劇団四季公式HPよりダウンロード)
※ダンスコースを志望する場合は、履歴書と一緒にダンスを録画したDVDの提出が必要。 - プロフィールシート(劇団四季公式HPよりダウンロード)
- 歌・台詞を録音したCD(各一分程度)
- 伴奏用楽譜(アンサンブルキャスト応募者のみ・CDの歌が劇団四季上映作品の場合は不要)
- 返信用封筒 A4サイズ2枚
1000人超の書類審査をするのですから、審査はは基本的にはさっと目を通して目に留まるものをじっくり見ることになります。
最初の書類審査を突破しなければ、いくら熱意があっても審査員に直接披露する場へ行けませんから、目に留まるような、そして劇団四季審査員の意向に沿うような書類の内容を準備する必要があります。
②実技審査(一次審査・二次審査)
実技審査には一次審査と二次審査があり、実技審査の詳細は書類審査合格者のみに知らされることになっています。
実際にオーディションを受けた人の口コミを見てみましょう。
【2011年入団】
本選で歌ったのは「サウンド・オブ・ミュージック」の「私のお気に入り」です。緊張で課題台詞を途中で忘れてしまい、よく合格できたなと思います。
【2006年入団】
ダンス審査を受けた際、前日に課題振付が行なわれたので、その後練習をしました。本番は審査員が10名以上並んでいて、緊張したのを覚えています。
このように、実技審査は複数人の審査員が並ぶ前で、事前に与えられた課題を発表する形となります。
- ダンス審査:一次審査・二次審査とも前日に課題振り付けが行われ、その場で覚えて各自練習し、当日審査員前で数人ずつ発表を行う。
- 歌・演技審査:与えられた課題を審査員の前で一人ずつ発表していく。
※歌審査では、課題曲以外にも、事前に伴奏用楽譜を郵送しているCDに録音した曲を自由曲として歌う場合があります。
課題は劇団四季の上映作品から選ばれることが公式HPでも明記されていますので、劇団四季の作品を研究し、演技・歌・台詞の勉強をしっかりしておくことが大切になります。
劇団四季オーディションに受かるためのポイント
劇団四季のオーディション内容についてご紹介したところで、受かるためのポイントを解説していきます。
書類審査に受かるためのポイント
書類審査に受かるためには3つのポイントが大切です。
1,志望動機は自分の言葉で丁寧に書く
まずは書類審査の「履歴書」「芸能書」「プロフィールシート」を作成する際の重要なポイントは、志望動機にあります。
これらには、通常の住所・連絡先・学歴などから、レッスン歴・舞台歴・声域などの情報、そして志望動機の欄があります。
基本情報や芸能情報などは、基本的に事実をそのまま書くものですので、その場の自分の頑張りで何か変わるものではありません。
しかし、志望動機は書き方ひとつで全く印象が変わりますし、唯一自分の思いを好きに書けるチャンスの場です。
志望動機には、抽象的なありがちなものではなく、必ず自分のオリジナリティある言葉で具体的に、劇団四季へ入団したい思いをぶつけるつもりで書きましょう。
小学生の時に劇団四季の舞台を見た時にとても感動し、劇団員を志すことを決めました。私も子供から大人まで、たくさんの観客を感動させられるような演技を目指したいと思っています。
「キャッツ」を初めて観た時に、心の底からの感動と言葉にはできないすさまじいパワーを感じ、自然と涙が出ました。その後、劇団四季の上映作品、特に「キャッツ」のDVDは、台詞をすべて暗唱できるほどに繰り返し観ました。私も自然に湧き出るパワーと生きる力を観客に与えられる舞台を作り上げらる一員になり、自分の力のありったけを注ぎたいと思っています。
悪い例も一見良さそうに見えますが、抽象的であり誰でも書ける内容ですので、倍率の高い劇団四季のオーディションでは不十分です。
また、劇団四季は「個」よりも「作品のクオリティ」を最優先に考える劇団になります。
劇団四季の作品は、全員が全力で作り上げるからこそ「感動」と「喜び」を与え続ける舞台ですので、その一員となることを想定した志望動機が必要になります。
書類審査で一度落ちたという人が、翌年書類の内容はほぼ変えず、細かく伝えるように注意をして作成し直したところ、オーディションに合格したという人もいました。
劇団は常に集団での活動になりますので、相手の立場になっていかに相手に伝わるように表現できるか、というところも重要な審査のポイントと思われます。
2,写真は必ず写真のプロに撮影してもらう
プロフィールシートの写真は、キャビネ版で全身・上半身各一枚ずつを撮影したものを、指定用紙に貼り付けて提出することになります。
通常のオーディションはL版写真ですから、劇団四季は写真から読み取れる本人の容姿や雰囲気をかなり重視していると考えられます。
写真を撮る際に大切なポイントは以下の通りになります。
- 必ず写真のプロのカメラマンにスタジオで撮ってもらう
- 事前に鏡の前で写真を撮る時の表情・ポーズを練習をしておく
- 劇団四季の自分が目指す役の雰囲気を出せる写真にする(表情・メイク・髪型・ポーズなど)
※ダンスコースで受験する方は、全身写真は体のラインがよく分かる水着、レオタード、タイツ等を着用して撮る必要があります。
ただのプロフィール写真と思って撮るのと、事前の準備をしてどのような写真を撮りたいかをイメージして撮るのでは全く出来が違います。
カメラマンにも、撮影の目的と自分のイメージを伝え、アドバイスをもらいながら撮ってもらうとより良いものが撮れるでしょう。
ただ、メイクや表情を作りすぎてしまうと、いざオーディションの実技試験の時に「写真とずいぶん雰囲気が違う」とかえって印象が悪くなってしまいますので、自然な範囲でのアレンジを心がけましょう。
3,歌・台詞を録音するCDは基礎を大切に、自分の声の特徴を生かして作る
劇団四季のオーディションでは、全員必ず歌・台詞を各一分程度録音したCDを作成し提出する必要があります。
これは、歌のうまさや台詞の抑揚などの演技力をみるというより、「発声の基礎がしっかりできているか」「本人特有の声の素材がわかりやすいか」「変に声を作っていないか」を重視する音声・音質審査のためといわれています。
わかりやすくいうと、応募者の声の特徴(素材)サンプルを送るというイメージです。
基礎ができていない、声を作っているとなると、劇団四季のレッスンで基礎からやりなおさなくてはならない可能性が高くなるため、無駄に労力がかかることになりますし、自然と選考から外れてしまいます。
普段の自分と違うものを無理に出そうとするのではなく、自分の力量の中で、素直に自分の持っている声の良さを出し、その中で最善を尽くすのがベストといえます。
CDは発声の基礎を大切に、自分の声の特徴を生かして作成する
以上、まずは書類審査を突破するためのポイントをご紹介しました。
書類や写真撮影、CD作成、ダンスコースを選択の方はさらにDVD作成など、準備がかなり大変になりますので、劇団四季のオーディション準備は早め早めにしておくことをお勧めします。
では次は、実技審査について受かるためのポイントをお伝えします。
実技審査に受かるためのポイント
劇団四季のオーディションに合格するには、それまでの舞台経験や受賞歴などがすべてではありません。
実際に、舞台の経験がほとんどない人も合格していますので、上手く見せようと背伸びをするよりは、自分の魅力・持ち味を生かし、今の自分の精一杯で全力でぶつかっていきましょう。
審査員はそんなあなたの真剣さ・情熱を感じとり、あなたにしかない個性・魅力を見て劇団四季に合っているかの評価をしてくれます。
それでは次に、舞台未経験でも受かった人や、一度落ちてその後受かった人の口コミをみながら、劇団四季のオーディションに受かるために大切なポイントを一緒にみていきましょう。
劇団四季のオーディションは舞台未経験でも受かる?
劇団四季の高倍率オーディションを、舞台未経験で合格した人は一体どのような人でしょうか。
それではまず、口コミをご紹介します。
自衛隊出身で舞台経験が全くありませんでしたが、研究生に合格しました。
高校生までは色々なスポーツをしていました。大学へは進まず、アルバイトをしながらミュージカルなどのレッスンを受けていました。研究生に合格しました。
他にも、水泳選手から劇団四季へ入団した人もいるなど、全く別の分野を主にしている人でも合格をしています。
これにはおそらく、以下のような点でプラスに評価をされたものと思われます。
- 自衛隊→体力や精神力がしっかり整っていて、集団生活での規律を守れる素地がある。
- 色々なスポーツ→体力があり色々な体の使い方を学んでいる。
- 水泳選手→体格が良く、体力・精神力が整っており、リズム感・肺活量もある。
もちろん実技試験で披露できる程度の基礎的な歌・演技・ダンスができなくてはいけませんが、逆に言うと、それ以外でも舞台に生かせる自分の強みがあれば大きな加点となります。
例えば、以下のような入団後に必要とされる本人の資質・能力を持ち合わせているかも重視されます。
- 劇団四季に入団したあとの厳しいレッスンについていける体力・精神力があるか
- 常に向上心を持って日々のレッスンに取り組めるのか
- 集団で一つの舞台を作り上げていくことを喜びにできるか
舞台未経験だから受からないのでは、と思っている人がいたら、決してそんなことはありませんので、あきらめずにあなたの持ち味を生かして、ぜひ劇団四季のオーディションにチャレンジしてみてください。
劇団四季のオーディションに落ちた!再度受けて合格できる?
高倍率の劇団四季のオーディションですから、受けてもしも落ちてしまった場合、再度受験しての合格は難しいのかが気になるところだと思います。
落ちても再受験して合格したという人がいますので、口コミを見てみましょう。
一度目は一次審査で落ちました。劇団四季の公演を研究しながらレッスンを重ね、二度目で合格できました。
研究生を3回受けて落ちましたか、3年後に歌手として再受験し、合格できました。
このように、一度落ちても二度目で受かった方や、四回受けて四回目に受かった方もいます
ので、一度受けて不合格でもチャンスは十分にあります。
ただ、闇雲に毎年チャレンジするのでは落ち続ける結果になってしまうでしょう。
劇団四季には「観る天国、やる地獄」「慣れ、だれ、崩れ=去れ」という言葉があります。
- 「観る天国、やる地獄」:劇団四季は、観客に喜びと感動を与える舞台を作るために厳しいレッスンに耐え、自らの努力を怠らずに常に維持向上を続けなければいけない厳しい環境であるということ。
- 「慣れ、だれ、崩れ=去れ」:劇団四季は超実力主義であり、入団後も出演レベルに達していなければ舞台には立てず、維持向上・修正ができなくなれば役はなくなり、去らざるを得なくなるということ。
オーディションを受ける段階から、劇団四季のそのような環境についていける資質があるかを審査されています。
再受験の場合は特に、プロにアドバイスを受けながらレッスンを重ねて、自身の技術の大きな改善を図る、コンクールや舞台に出て記入できる芸歴や舞台歴を増やすなど、目に見える成長をみせることが重要になります。
まとめ
今回は、劇団四季のオーディションについて以下の内容をご紹介しました。
- 劇団四季のオーディションを受けられる年齢と応募資格
- 劇団四季のオーディションの倍率
- 劇団四季のオーディション内容
- 劇団四季のオーディションは舞台未経験でも受かる可能性があること
- 劇団四季のオーディションに落ちても合格できる可能性があること
倍率が高く難関といえる劇団四季のオーディションですが、だからと言ってあきらめる必要はありません。
あなたが劇団四季の舞台へ立ちたいという熱い思いを絶やさず、努力を怠らなければ、いつか夢はかなうでしょう。
「観る天国、やる地獄」を体感し、劇団四季の素晴らしい舞台を作り上げる感動を味わうその日を楽しみに、がんばってくださいね。