声優を目指している皆さんは、進学を控えていたり、入りたい養成所に向けて準備したり。また、憧れているけどどうやって声優を目指そうかな?と進路先を模索している方もいるでしょう。
本格的に始める前に「今から少しでも声優スキルを上げておきたい!」という方へ今回は、家で出来る発声練習やセリフの練習方法をご紹介します。普段の生活に取り入れやすい内容なので、ぜひ今から始めてみてください。
Contents
家でできる発声練習
声優を目指している皆さんは、今すぐにでも発声練習して声優に近づきたい!と考えていると思います。そこでここでは、家できる発声練習を4つご紹介します。
どの練習も今すぐ手軽にできるものばかりです。継続することによってしっかりと基礎が身につきますので、積極的に取り入れてください。
腹式呼吸
歌を歌う時に使う技法として聞いたことがある方も多いと思います。腹式呼吸は、喉にかかる負担を少なくします。肺の下にある「横隔膜」を上下させて空気を出し入れする呼吸法です。
声にメリハリが出て、よく通るようになり、大きさや長さをコントロールしやすくなります。
横隔膜とはこの辺りです。
- 背筋を伸ばして足を肩幅に広げて立ち、体の力を抜いてリラックスします。
- おへその辺りに手を当てます。
(呼吸をする事でお腹が膨らんだり凹んだりするのを意識する為です。)
- 鼻から息を吸い、口からゆっくり息を吐き切ります。吸う時間より吐く時間が長くなるよう意識して、お腹が上下するのを感じながら肩の力を抜いて行います。
(初めは4秒で吸って、8秒で吐き切るといった具合に。徐々に長くしていって、25秒位で吐き切るようになると良いです。)
- 普段の生活や日常会話ができるように、常に腹式呼吸を意識します。
腹式呼吸は、ボイストレーニングの基本中の基本です。これができていると、ライバルにも差がつけられます!常に意識して生活すると習得も早いので、試してみてください。
とはいえ、普段は「胸式呼吸」を使って会話したり呼吸をする方が多いです。
胸式呼吸とは、肺を使ってする呼吸法です。深呼吸をする時によく分かりますが、肋骨の辺りが動いて、肩が上がります。
そのため、初めはなかなか腹式呼吸に慣れない方も多いので、ポイントをお伝えします。
- 初めは仰向けになって練習する。
- 睡眠時は自然に腹式呼吸になるので、寝る前にお腹に手を当てて横隔膜の上下を感じる。
- 肩の力を抜き、肩が上がらない事と、お腹が上下するように意識して、息をゆっくりと吐き切る。
この3点を意識して初めてみてください。
リップロール
腹式呼吸を使って、一定に吐く息の量を調整するのに適した練習です。音程が取りやすくなったり、裏声が自由に使えるようになったりするので、こちらも練習していく事をおすすめします。
「リップロール」とは?
子供の頃ふざけてやった事もある人もいるのではないでしょうか?唇を軽く閉じた状態で、息を吐き出すと(ブルブルブル・・・)と唇を震わせるあれです!
- 体の力を抜いて口を軽く閉じ、腹式呼吸を意識して息をゆっくり吐く。
- 最初は声を出さずに10秒を目標に息を吐き切る。
- 慣れてきたら声を出して練習する。
- 音程を変えて声を出してみる。(曲に合わせてメロディが出せるようになると良いです。)
単調ですが、大事な発声練習です。最初はうまくいかない人も多いと思いますので、そんな方にポイントをお伝えします。
- 唇を少し突き出して「アヒル口」で練習してみる。
- 唇を少しだけ湿らせてみる。
- 唇の両端の辺りを少しだけ指で真上に持ち上げてみる。(横に引っ張らないように)
- それでもうまくいかない人は、もう少し強く息を吐いてみる
最初は上手くいかないな…という人はこの4点を試してみてください。
ハミング
ハミングとは、口を閉じて声を響かせるようにする練習です。ハミングをすることによって、声の響かせ方が上手くなり、声量が上がる、高音が出やすくなる、腹式呼吸の質が上がる、など基礎練習に欠かせないものですね。
- 初めは鼻垂を抑え、鼻が振動しているように声を出す。(キーを高くすると頭の方が震え、低く声を出すと喉付近が震えるようになります。まずは鼻付近を意識して響かせることに慣れましょう。)
- 鼻付近に意識して響かせるようになったら、高音、低音も試してみてください。(頭、喉に手を置いて意識して発声します。)
- 力まず長く発声するよう意識してください。
- 口の中で響いているイメージができたら、曲などに合わせてメロディーをつけましょう。
ハミングをする時も、背筋を伸ばし肩に力が入らないように意識してください。
50音発声
実際に発声してみましょう。大事な事は口を大きく使う事です。
あ:口を大きく顎を下までしっかりと開けて発音します。
い:両側から口を引っ張るイメージで横にいっぱい口を開いて発音します。
う:口をすぼめて唇を前に出して発音します。
え:あ、より広げず い、より開ける。中間ぐらいの口の開き具合で発音します。
お:あ、の口を小さくし、唇を丸の形にする、舌の奥を上げて発音します。
このように口周りをしっかり動かして次のように発音していきます。
あえいうえおあお
かけきくけこかこ
させしすせそさそ
たてちつてとたと
なねにぬねのなの
はへひふへほはほ
まめみむめもまも
やえいゆえよやよ
られりるれろらろ
わえいうえをわを
このように50音順に発音していきます。
しっかりと、(あ,え,い,う,…)という風に、一文字ずつリズミカルに歯切れ良くはっきりと発音していきます。
無理に大きい声を出そうとせずに、しっかりと呼吸に声を乗せる感じで腹式呼吸を使って発音します。
声優業はセリフを読んだり、ナレーションや歌など、その名の通り声を出して表現をする職業です。声優を目指している皆さんは、夢のために一生懸命練習しようと考えていると思います。頑張って練習していても、発声の基礎ができていなければ、声が通らなかったり、喉を痛めてしまう危険もあります。
ですが基礎がしっかりできていると喉に負担をかけずに練習できます。声優の技術的な事を学んだ時に格段に習得しやすく、繰り返すことでしっかり身につきます。家で今すぐできる練習方法なので、ぜひチャレンジしてみてください!
では次にセリフについての練習をご紹介します。
家でできるセリフ練習
声優といえばアニメや映画のキャラクター、ナレーションなどの「声」で表現する仕事ですよね。これらにはセリフがあり、物語や番組の進行に合わせて演技をします。イメージや雰囲気に合わせた演技力も大事になりますが、セリフを聞き取りやすくスムーズに話せる事も非常に大切です。
ここではセリフ読みの練習についてお話しします。
自分の喋り方やスピードをチェック
セリフを読む為には、アニメを見ている人やナレーションを聞いている人に、聴きやすい発音、スピードで読まなければならないですね。聴きやすく印象に残る内容を発声する為には、まず自分の話し声を聞いてみて、話し方、声の大きさ、話すスピードを分析してみましょう。
ビデオカメラやスマートフォンで撮影して、映像として残しておけば口の開け方も研究できます。
滑舌の練習
声優は、物語では普通に話しているように演技をしますし、ナレーションでは明確に説明しなければならないので、滑舌良く話す事はセリフ読みの基本です。滑舌が悪く、聞き取りにくかったりつっかえてしまっていては仕事として成り立ちません。
滑舌良くセリフが読めれば、感情をセリフに乗せる余裕もできるので、表現力もアップし、聞いている人にも伝わりやすくなります。
そこで、昔から滑舌を良くするトレーニングに使われていて、セリフ読みの基本となるツールをご紹介します。
外郎売(ういろううり)
こちらは、昔からある歌舞伎の演目での長ゼリフを、声優やアナウンサーなどのトレーニングに取り入れたことから、定番の練習方法として使用されています。とても長い文章なので滑舌良く読む訓練になります。
また聞き慣れない言葉で、読みにくい昔の言い回しを読むことによって、滑舌良く読む良い練習になります。
マーカー部分で段落を5つに分けて練習すると良いです。
拙者親方と申すは、御立会の内に御存知の御方も御座りましょうが、御江戸を発って二十里上方、相州小田原一色町を御過ぎなされて、青物町を上りへ御出でなさるれば、欄干橋虎屋藤右衛門、只今では剃髪致して圓斎と名乗りまする。
元朝より大晦日まで御手に入れまする此の薬は、昔、珍の国の唐人外郎と云う人、我が朝へ来たり。
帝へ参内の折から此の薬を深く込め置き、用うる時は一粒ずつ冠の隙間より取り出だす。依ってその名を帝より「透頂香」と賜る。
即ち文字には頂き・透く・香と書いて透頂香と申す。
只今では此の薬、殊の外、世上に広まり、方々に偽看板を出だし、イヤ小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと色々に申せども、平仮名を以って「ういろう」と記せしは親方圓斎ばかり。もしや御立会の内に、熱海か塔ノ沢へ湯治に御出でなさるるか、又は伊勢御参宮の折からは、必ず門違いなされまするな。
御上りなれば右の方、御下りなれば左側、八方が八つ棟、面が三つ棟、玉堂造、破風には菊に桐の薹の御紋を御赦免あって、系図正しき薬で御座る。
イヤ最前より家名の自慢ばかり申しても、御存知無い方には正真の胡椒の丸呑み、白河夜船、されば一粒食べ掛けて、その気味合いを御目に掛けましょう。先ず此の薬を斯様に一粒舌の上に乗せまして、腹内へ納めますると、イヤどうも言えぬわ、胃・心・肺・肝が健やかに成りて、薫風喉より来たり、口中微涼を生ずるが如し。魚・鳥・茸・麺類の食い合わせ、その他万病即効在る事神の如し。
さて此の薬、第一の奇妙には、舌の廻る事が銭ごまが裸足で逃げる。ヒョッと舌が廻り出すと矢も盾も堪らぬじゃ。
そりゃそりゃそらそりゃ、廻って来たわ、廻って来るわ。アワヤ喉、サタラナ舌にカ牙サ歯音、ハマの二つは唇の軽重。開合爽やかに、アカサタナハマヤラワ、オコソトノホモヨロヲ。一つへぎへぎに、へぎ干し・はじかみ、盆豆・盆米・盆牛蒡、摘蓼・摘豆・摘山椒、書写山の社僧正。
小米の生噛み、小米の生噛み、こん小米のこ生噛み。繻子・緋繻子、繻子・繻珍。
親も嘉兵衛、子も嘉兵衛、親嘉兵衛・子嘉兵衛、子嘉兵衛・親嘉兵衛。古栗の木の古切り口。雨合羽か番合羽か。貴様の脚絆も革脚絆、我等が脚絆も革脚絆。尻革袴のしっ綻びを、三針針長にちょと縫うて、縫うてちょとぶん出せ。河原撫子・野石竹、野良如来、野良如来、三野良如来に六野良如来。
一寸先の御小仏に御蹴躓きゃるな、細溝にどじょにょろり。京の生鱈、奈良生真名鰹、ちょと四五貫目。御茶立ちょ、茶立ちょ、ちゃっと立ちょ。茶立ちょ、青竹茶筅で御茶ちゃっと立ちゃ。
来るわ来るわ何が来る、高野の山の御杮小僧、狸百匹、箸百膳、天目百杯、棒八百本。武具、馬具、武具馬具、三武具馬具、合わせて武具馬具、六武具馬具。
菊、栗、菊栗、三菊栗、合わせて菊栗、六菊栗。麦、塵、麦塵、三麦塵、合わせて麦塵、六麦塵。あの長押の長薙刀は誰が長薙刀ぞ。向こうの胡麻殻は荏の胡麻殻か真胡麻殻か、あれこそ本の真胡麻殻。がらぴぃがらぴぃ風車。起きゃがれ小法師、起きゃがれ小法師、昨夜も溢してまた溢した。
たぁぷぽぽ、たぁぷぽぽ、ちりからちりから、つったっぽ、たっぽたっぽ一干蛸。落ちたら煮て食お、煮ても焼いても食われぬ物は、五徳・鉄灸、金熊童子に、石熊・石持・虎熊・虎鱚。中でも東寺の羅生門には、茨木童子が腕栗五合掴んでおむしゃる、彼の頼光の膝元去らず。
鮒・金柑・椎茸・定めて後段な、蕎麦切り・素麺、饂飩か愚鈍な小新発知。小棚の小下の小桶に小味噌が小有るぞ、小杓子小持って小掬って小寄こせ。
おっと合点だ、心得田圃の川崎・神奈川・程ヶ谷・戸塚は走って行けば、灸を擦り剥く三里ばかりか、藤沢・平塚・大磯がしや、小磯の宿を七つ起きして、早天早々、相州小田原、透頂香。隠れ御座らぬ貴賎群衆の、花の御江戸の花ういろう。
アレあの花を見て、御心を御和らぎやと言う、産子・這子に至るまで、此の外郎の御評判、御存じ無いとは申されまいまいつぶり、角出せ棒出せぼうぼう眉に、臼杵擂鉢ばちばち桑原桑原桑原と、羽目を外して今日御出での何茂様に、上げねばならぬ、売らねばならぬと、息せい引っ張り、東方世界の薬の元締、薬師如来も照覧あれと、ホホ敬って外郎はいらっしゃりませぬか。
引用:Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/外郎売
まずは話の流れを覚えるまで、ゆっくりひたすら読んで覚えます。覚えてきたら、マーカーで区切った段落ごとに、見ないで読めるように練習し、徐々にスピードや抑揚をつけて読んでいくと良いです。
早口言葉
滑舌を良くするために外郎売を暗記するのも良いですが、寝る前や入浴中など短時間で繰り返し練習できる早口言葉もチャレンジしましょう。
- 生麦生米生卵
- 隣の客はよく柿食う客だ
- 赤巻紙青巻紙機巻紙
- 新春シャンソンショー
- 竹やぶに竹立てかけたのは竹立てかけたかったから
- 除雪車除雪作業中
- 坊主が屏風に上手に坊主の絵をかいた
- 歌唄いが来て歌唄えと言うが歌唄いくらい歌うまければ歌唄うが歌唄いくらい歌うまくないので歌唄わぬ
- 美術室技術室手術室 美術準備室技術準備室手術準備室 美術助手技術助手手術助手
- 東京特許許可局長 今日急遽休暇許可拒否
- 新設診察室視察 瀕死の死者 生産者の申請書審査 行政観察査察使 親切な先生 在社必死の失踪
これらの滑舌練習は、リズムをつかむのも重要です。ストップウォッチで時間の設定をしてからチャレンジしてみても良いと思います。
朗読する
自分の好きな小説、漫画、新聞雑誌など、声に出して読んでみます。その際も録音や、映像として撮っておくと後で検証ができ、自分なりに考えて改善もできます。検証して、様々な抑揚をつけて読んでみてください。
家族の人や、友人に聞いてもらって感想を聞いてみるもの良いですね。
練習時の注意点
自宅で練習をする際には注意しておくべき事があります。体調管理、周囲への配慮の2点を説明します。
喉を大事に
自宅で頑張って練習しても、喉を壊してしまっては元も子もありません。風邪気味や、無理しすぎて喉が調子悪いな、声が出づらいな、と感じたら通院したり、乾燥を防いだり、安静にして喉のケアをしっかりして、常に良い状態で練習できるようにしておきたいですね。
近所や周りに配慮しよう
自分の家だから大丈夫だ!と、夜中に発声練習をしていたり、近所を気にせず大音量で録音したものや、学習素材を流したりなど、トラブルになってしまってはせっかくの練習もできなくなってしまいます。
近所に影響がないようなタイミングで練習したり、ホームセンターなどにもあるようなスポンジ状の防音材を壁に貼ったりなど、配慮して練習をすると気持ち良く練習できます。
有名声優のアドバイス
アニメ「鬼滅の刃 竈門炭治郎」役で一躍有名声優となった花江夏樹さんは、高校2年生で声優を目指す事を決めました。その時にしていた練習や、声優を目指している学生さんへのメッセージをご紹介します。
どんな練習をしていたの?
一流声優の練習方法。気になりますね。プロになる前にしていた練習方法なので参考にしてくださいね。
- 早口言葉や文章の音読
- 好きな小説や漫画の音読
- 好きなアニメのセリフを覚え、録画に合わせてセリフを合わせる。
- 音読やセリフを録音し、自己分析と友人に聞いてもらう。
このように特別なことをしているわけではなく、今の環境でできる事をしていたんですね!ただできるだけ活字に関わるという事を意識して、本を読んだり、文字を見ていたりして習慣化していきました。
花江夏樹さんから声優を目指している学生へアドバイス
声優業界は人気職でライバルも多く、競争率も激しいです。周りの成功している人達を見ていると、発想豊かな人が多いように思います。若い学生の内に発想をたくさん持って、人のやっていない事に挑戦すると良いと思います。
不安な事もあって、全て解消さる事はないと思いますが、不安になったら「練習」「特訓」です。技術は確実に身についていくので、練習は嘘をつかないんです。
どれだけ声優に対しての時間を作れるかというのも大事です、熱意を持って始めた声優への道をどれだけ長い時間関わっていけるか、その時間に誰よりも声優の研究練習を続けていけば、自信につながって必ず声優になれると思っています。
まとめ
今回は、声優になるために今から家で出来ることは?という事で、発声やセリフの練習方法をご紹介してきました。
基本的な発声練習と、セリフを読むための滑舌の練習で基礎を固めておきたいですね。
- 家で出来る練習は基礎的な練習がおすすめ。
- 特別な機材は必要ないので今からでも始められる。
- 発声練習は腹式呼吸を常に意識して、リップロールやハミングも取り入れ基礎を固める。
- セリフ練習は台本読みのために、新聞などで漢字の勉強もし、早口言葉や外郎売で滑舌の練習をしておく。
という内容でした。有名声優の花江夏樹さんも「練習は嘘をつかない!誰よりも強い熱意で、誰よりも練習していれば、自信につながります」という事をおっしゃっていました。
情熱を持ち、日々誰にも負けないように練習をする事で自信になります。自信がつけばチャンスを引き寄せます、声優になるという強い思いで家での練習に取り組んでください。